ようへいの日々精進XP

よかろうもん

病院に行って電子カルテで感じたこと

奥さんの通院に付き添った。


奥さんと一緒に診察室に入ると真っ先に気になったのが医師のデスクに整然と置かれたパソコンのキーボードにマウスと 24 インチ位の液晶モニタのみ。仕事柄というか興味もあったので液晶モニタを覗きこむと電子カルテシステムが起動していて「過去の診断」と「本日の診断」という大きなテキストボックスに次の診察日の予定を調整する為なのかカレンダー、薬のデータベースへアクセスする為のボタン等が並んでいた。

「おお、これが電子カルテかー、電子化されることで過去の診断履歴の検索性やカルテ整理の手間等が簡素化されて診察が効率良く行われるようになるんだろうなあ...」

と思いながら奥さんの診断が始まったが、診断が始まった途端に違和感を感じた。


その違和感とは...

診断中の殆どの時間で医師が奥さんの話を聞きながら、奥さんの顔ではなくパソコンのキーボードとモニタしか見ていない

ということ。今まで、自分自身も他の病院に通院していて違和感を感じていたが、まさに同じ違和感。医師が診察の間、電子カルテの入力に没頭しているように見えてしまう。


もちろん、終始パソコンとにらめっこしていたわけでは無いが、奥さんへの質問も奥さんの顔を見てではなくパソコンの画面を見ながら、確かに奥さんが話す内容を漏れ無くキーボードで入力していてタイピングはスゴイなあと感心したが、人の話を聞く時には人の目を見る...までは必要はないかもしれないが、患者の顔色や表情についても診断の指標の一つ*1ではないのかなあと感じた。

まさに、医師は入力に一生懸命にならざるを得ないような状況になっているような気がした。


冒頭にも書いたが、電子カルテ導入によるメリットについてはカルテやレントゲン画像等の診断情報の一元管理、検索性の向上等による診察の効率化等得られるメリットは大きいと思うが、対して電子化によって停電に弱い、情報漏洩のリスク、医師の IT スキル(キーボード入力やマウス操作を含む)が診断スピードに影響を及ぼす等のデメリットも十分に考えられる。今回、自分が感じた違和感もデメリットの一つでは無いかなと思う。


電子カルテを否定するつもりは全く無いし、むしろ、得られるメリットを考えるとこれから積極的に導入していくべきだと考えているが、医師と患者のコミュニケーションを阻害したり、医師の手間が逆に増えてしまうシステムではなく、例えば、医師のカルテ記載はキーボードだけではなく、従来のようなペン入力が可能であったり(既にそのようなシステムがあるかもしれないが、識字の精度をより向上させたりとか)、通院出来ない遠隔地の患者に対してリモート診察だったり(これも既に実施されているようだけど、遠隔で脈が取れたり、顔色が鮮明に認識出来たりとか)とか...


医療と IT については全く不勉強なので勝手に違和感を感じたり、理想論をポエムったりしてしまったが、これからも進化する医療と IT の中心には医師と患者という生身の人間が居るということを忘れずに研究、開発を行って頂きたいと感じた次第。

*1:患者の症状によっては医師と顔を合わせられない等もあると思うが...