はじめに
これからの生き方に少しでも参考になるような本を探していたら、その前にこれを読めと言わんばかりに目についたので読んでみた。
- 作者: 西多昌規
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2012/06/04
- メディア: 文庫
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書籍について
目次
こちらより抜粋。
第1章 テンパると「人生を台無し」にしてしまう!―その「危険性」と「ダメージ」 第2章 なぜ人は「テンパってしまう」のか?―その「科学的メカニズム」 第3章 テンパってしまったときの「応急処置」 第4章 テンパらないための「生活習慣」 第5章 「テンパらない人格」をじっくり育てる法 第6章 周囲をテンパらせない「コミュニケーション術」 第7章 テンパっても成長できる「ポジティブ反省法」
ザクッと
「テンパる」という行動を脳科学的な観点から解説されており、人はなぜ「テンパる」のか、「テンパった」先にあるものは「キレる」と鬱につながる、「テンパった」時の応急処置や「テンパ」らない為の生活習慣等がテンポ良い文章で解説されていてとても読み易くでページ数は 200 ページ程度とサクサク 3 時間程度で読むことが出来た。
読み進めているうちに自分に当てはまる記述が多くあり悲しい気分になってしまったが、本書に書かれている「テンパった」時の応急処置、「テンパ」らない生活習慣等を出来る範囲で実践して「テンパ」りを少しでも減らせればなあと思った。
テンパるしか出来ないワタクシが「テンパり」を語る
自分なりに...
ネタバレに気をつけて「これはっ」と思った部分を抜粋。
テンパるとは
- 「テンパる」「キレる」とは脳の問題である
- 「テンパる」は「キレる」の黄色信号
- 「テンパる」の原因はノルアドレナリンの活動が過剰になり脳の「ワーキングメモリ」機能が低下すること
テンパるメカニズム
- 「テンパりやすい性格」は遺伝の影響は無いとは言えないが後天的な影響の方が大きい
- 「テンパる」とは心の視野狭窄であり勝手な思い込みや偏った考えは「テンパる」準備状態である
- 「テンパる」人は「抜きどころ」がわからない
- 「頭が真っ白になる」=ノルアドレナリンの働き過ぎにより「ワーキングメモリ」の働きが鈍くなっている
- 恐怖や嫌悪感等のネガティブな感情を取り仕切る扁桃体の働き過ぎ(アラートの出しすぎ)により「テンパる」
- 前頭葉の疲労(主に睡眠不足)も「テンパる」要因となる→扁桃体の働き過ぎを抑える機能が低下する
- 「テンパり」は伝染する
- 物忘れ、凡ミスが頻発する時にはテンパリ注意報(精神的に余裕が無いときには「注意機能」が低下する)
テンパった時の応急処置
- テンパった時の自分や他人の姿を思い出す→テンパった姿を写真に撮っておく(※これはちょっと恥ずかしい)→「客観視」のトレーニングにもなる
- 一時的に現場から戦線離脱(その場を離れて一息いれる)
- 集中する時間を「15」分に限定する(15 分が短すぎず、長すぎず、キリが良い)
- ポーズ(一時休止)を入れる
- 緊張や不安は交感神経の働きを強めてしまう
- お腹に力を入れてゆっくりと息を吐く(バルサルバ法)→「副交感神経」を活性化させる簡単な方法
- 意識して動作をゆっくりにする(口元を大きくゆっくりとしゃべる)
- 相手の話を「聞くこと」に集中する
- 癒やし画像(家族やペットの写真等)を見る
テンパらない為の生活習慣
- 「優先順位」をつける
- 脅迫傾向の強い日本人には欠点や妥協を許容しづらい→結局自分が苦しくなる
- 「優先順位(トレードオフ)」は厳密に考えない
- とにかくメモで脳への負担を減らす→ワーキングメモリに定期的な整理
- メールチェックに消耗しない→スピードと簡素化
- SNS とはうまく付き合うには→一定時間断つ、誹謗中傷は見ない
- 細切れ時間→時間に追い立てられている→「テンパっている」→週に一度はまとまった時間を設ける
- トリプトファン(「精神的に落ち着ける」栄養源の一つ)を含有する食べものを積極的に摂る(例:肉、魚、乳製品等)
- オメガ脂肪酸(オメガ-3 脂肪酸)は抗鬱、抗不安効果が研究で明らかになってきている(青魚に多く含まれている)
- 腹八分
- 十分な睡眠(週末の寝溜めはあまり良くなさそう)
「テンパらない人格」を育てる
- リスペクト出来るリアルな人物、ちょっと「甘えられる」先輩
- 「新しい経験」を恐れない→適度な「テンパり」は人を成長させる
- 「想定外」に対する柔軟性を持っておく→過度な利便性が「想定外」への耐性を奪っている
- 「失敗談」をネタに出来る→テンパッて失敗してしまったことを面白おかしくみんなに話すことが出来るか
- 「まじめ」であること
- 「悪い完全主義」が自分を追い込む
- 「歪んだ認知スタイル」=「完全主義」を捨てる
- 「プチいい加減」になる
- 「ゼロリスク探求症候群」=「ゼロリスクを探求するあまりにリスクバランス感覚を失い、他人が犠牲になることも理解できない病的心理」
- 子供やお年寄りとふれあう時間を作る→子供やお年寄りは相手の「テンパり」に敏感
- 「仮説」と立てる力を養う→「思い込み」ではなく「仮説」という思考スタイルを取り入れる→「仮説」は外れても構わない、絶えず修正が必要
- 「リフレーミング」(見方や考え方を 180 度変える方法)を試みる=認知の「枠組み」を立て直す
周囲をテンパらせない「コミュニケーション術」
- 他人と分かり合えないことが普通と考える
- 「他人の悪口は言わない」→当たり前と言ったら当たり前だが...
- 周囲がテンパッているときこそ落ち着く
- テンパった相手と会話をする際には「目線の高さ」を同じにする
ポジティブ反省法
- 「テンパッてしまった」自分をあまり嫌悪感を抱かずに「脳がアップデートされた」と思う(脳の可塑性)
- 自分の「苦手分野」をよく知ること→苦手分野をリストアップ
- すぐに謝ることが出来る臨機応変さでリカバリー(キレてしまったらすぐに謝る)
- お酒で憂さ晴らしはダメ(アルコールはドーパミンの働きを抑える機能を効かなくさせる...)
- 「イヤなことは寝て忘れる」→「寝て気にならなくなる」
最後に
テンパりって
- 良いテンパリ、悪いテンパリ
- 良いテンパリは適度な緊張感を与え、場合によっては最高のパフォーマンスを発揮する
- 悪いテンパリとは脳の疲れ(睡眠不足、栄養不足、社会的なストレス)完全主義が自分自身を追い込んでしまった結果
読んでて辛かったけど
冒頭にも書いたが「悪いテンパリ」の典型的な生活パターンや思考(視野が狭くなってしまうこと、優先順位を付けることが苦手なこと等など)について、自分のことが書かれているようで読んでいて辛かった...が、読み進めるうちに恥ずかしながら自分と向き合うことが出来たような気がする。
明日からテンパらない生き方が出来るか?
残念ながら本書を読んだだけでは、明日からテンパらない毎日を送れるようになれるとは思わないが、自分の生活や思考の一つ一つを振り返ってテンパりにくい生き方を模索するのに役立つ一冊だと感じた。